最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「でも、そろそろ起こそうかなと思ってたんです。せっかくロンドンまで来たんだから、寝てるだけじゃなく観光もしたいでしょ? あ、朝ご飯食べます? 英国定番メニューですよ」

そう言って彼は調理台に置いてあった大きなプレートを私に見せてくれた。

焼き目のついたソーセージにベーコン、トマトにマッシュルーム。ハッシュドポテトとベイクド・ビーンズ。

仕上げに彼はフライパンから目玉焼きをプレートの中央に落とした。

これぞイギリスの定番朝ごはん、その名も『イングリッシュ・ブレックファスト』。

「わ……ありがとうございます! 滞在中、一度は食べてみようと思ってたから……!」

私のテンションが上がってきたのを見ると、彼は「Lovely(いいね)!」と笑って食器棚からナイフとフォークを取り出した。

とてもフランクで優しそうな人だ。いつも神経質そうな志遠さんとは違って――と言ったら志遠さんに失礼だろうか。

きっとこの男性が志遠さんの話していた信頼出来る友人だろう。

「あなたは――」

「俺のことはダリルって呼んでください。ダリル・カートレイ。シオンの友人であり、彼の個人秘書でもあります」

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