最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
第四章 俺と君の関係は理に適っている
仕事中に陽芽の写真が――しかもとびきり笑顔のショットが――わんさか送られてきた。

ふつふつと湧き上がる苛立ち。その表情があきらかに、俺がこれまで目にしたものよりも楽しそうで、なぜか負けた気がしてくる。

……ダリルと一緒にいるときの方が、ずいぶんと楽しそうじゃないか。

その笑顔が別の男に向いていると思うと、なぜだか無性に腹が立つ。

そもそも、警戒心が足りなくはないか? 詐欺に遭い無一文になったばかりだというのに、出会ったばかりの男に気を許すなんて。

まったく、どういう神経をしているんだ彼女は。

どこか危うく放っておけない。庇護欲なんて生易しいものではなく、頭から離れてくれないという半強制的な感覚で、気づけば仕事中も彼女のことばかり考えていた。

これまで女性に付きまとわれて不愉快になったことはあったが、頭から離れなくて迷惑をこうむった経験は初めてだ。どう処理すればいいのだろう。

そもそも女性のことを四六時中考えているという経験が、生まれて初めてだ。彼女が原因で仕事が手につかないとは、もはや屈辱的。

……悪い人間ではないようだが。

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