迷彩服の恋人
「もちろん!よかったわね、土岐くん。2ショット…フラレなくて!」

「本当ですよ、慣れないことはするもんじゃないですね…。」

「じゃあ、はい…。」

そう言って土岐さんは、私の肩に上着を掛けてくれる。

わぁ…本当に土岐さんの戦闘服、着ちゃった!

「じゃあ、撮るわよー。」

土岐さんのお願い聞いたし…私のお願いも聞いてくれるかな…。

私は〝えーいっ!〟と半ば勢いに任せて、隣に立つ彼の手を捕まえにいってみる。
一瞬、彼の手はピクッとしたけど、すぐにギュッと握り返してくれた。

「はいはい、2人とも恥ずかしがってないで無理やりにでも笑って。」

「えっ、笑えてないですか?」

私と土岐さんの声が重なる。

「笑えてな〜い!仕方ない、桧原式の掛け声で撮りますか…。いくわよー。はい、〝けーれいっ!〟」

そうきますかっ!これは笑っちゃう。
条件反射で敬礼もしちゃったし…。先輩、ナイスです!

その後は、撮影を見守ってくれていた隊員さんたちがカメラマンをしてくれたので、結花先輩も入って3ショットを撮ったり…何枚か撮影した。

そして志貴さんと合流し、ランチへ向かった。



「えっ?土岐と都ちゃんが手、繋いでる…。どういうこと?結花。」

先輩、志貴さんに説明しないって選択肢はないんですね。

それに、土岐さん。恥ずかしいなら離してもいいですよ…手!


「これから昼飯で人多いし、はぐれないようにしたいので…望月さんがどうしても嫌じゃなければこのままで…。」――。


そう言われてここまで歩いてきたけど、男性隊員さんにチラチラ見られて落ち着かない…恥ずかしい。

「あった。すみませーん。」

「いらっしゃいませ。珍しいですね、隊員と一緒とはいえ戦闘糧食を食べに来る女性の方。彼氏さんのお付き合いですか?」

「いいえ。私達、食品メーカー勤務なので非常食の研究に。あと、私が自衛隊マニアです!」

屋台の番をしている隊員さんとやり取りをしている結花先輩に…「何、食べたい?」と聞かれたので、私は【鮭の炊き込みご飯とお吸い物のセット】を頼んでもらった。

ちなみに、土岐さんは私と同じものを頼んで…結花先輩と志貴さんは【カレー】を注文したみたい。

そして、ここから私は…土岐さんにヒートパックの使い方を教えてもらう。
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