アゲハ蝶は、クローバーを一人占めしたい
「「は?」」

「鷹寅くんに協力してもらって。
まだ、一人ずつとしか無理なんだけど……
でね!鳳のみんなと会えるようになったら次は、毅蝶のおじ様にお願いして、都筑組の組員さんと会おうと思ってる」

「鳳雅、知ってた?」
「知るわけないだろ!?
四葉、そんなこと考えてたの?」

「うん。私、頑張る!」
拳を握りしめ、揚羽を見上げる四葉だった。




「━━━━━━━まさか四葉が、そんなことしてたなんてな……」

四葉を送り、揚羽と鳳雅は自宅の縁側で煙草を吸っていた。

「やっぱ四葉は、最高な女だ」
「フフ…揚羽は、最低だけどな」

「………うん、そうだな」


「…………相変わらず仲良いなぁ、二人は」

突然、声がして振り向くと……

「叔父さん?」
「は?親父、何やってんの?
ここ、都筑の屋敷だぞ」

鳳雅の父親、琥蝶がいた。

「毅蝶に呼ばれた。
まぁ、鳳雅に話もあったし」
鳳雅から煙草を一本取りながら言った、琥蝶。

「は?毅蝶伯父が?」
「父さんが、叔父さんを?」
「それにしても、親父がこの屋敷に来るなんて…どうしたんだよ?」

「俺が、来ねぇと会社を潰すっつったから」
後ろからまた別の手が伸びてきて、鳳雅の煙草を取る。
今度は、毅蝶が立っていた。

「父さん?」
「毅蝶伯父、どうなってんの?」

「若、琥蝶様。
オヤジがお待ちです。
揚羽様と、鳳雅様もご一緒にお願いします」
組員が、丁寧に頭を下げ言った。

「「は?」」
「なんだ?」
「僕、今から四葉に電話しないとなんだけど?
四葉が待ってるんだ」

「お時間は取りませんので」


「━━━━━━悪いな、突然……」

都筑組の組長で、毅蝶と琥蝶の父親、揚羽と鳳雅の祖父・蝶矢(ちょうや)が、ソファに座り四人を見据えていた。

「ほんとだよ。お祖父様、用件があるなら早くして」
揚羽も、蝶矢をしっかり見据えて言い放つ。

「ほんっと、揚羽はスゲーなぁ」
「は?」

「いつも俺を真っ直ぐ見て、意見を言いやがる。
いや、この四人はみんなそうだが…
揚羽が一番、恐ろしい……!」
蝶矢が笑いながら、毅蝶に目ふせする。

「だから、何!?俺も忙しいんだよ。
だいたい、この屋敷にいることすら気分が悪い」
琥蝶も、蝶矢を睨み付けた。

「その割にはよく来たな、琥蝶。
やっぱ、お前は優しいなぁー」
「うるさいよ!早く用件を言ってくれ!」

「単刀直入に言う。
琥蝶、揚羽、鳳雅。
オヤジの病気のことは、知ってるよな?」

「親父、まさか……!!?」
「お祖父様?」
「じぃちゃん?」


「余命三ヶ月だそうだ。
今日……宣告された」


運命が、大きく変わり始めていた━━━━━━━
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