魔法の手に包まれて
 一口コーヒーを飲んだ杏奈が口を開いた。この中で、今日のイベントに関わっていないのが彼女だけだから、興味があるのだろう。

「ええ、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。子供たちのアイデア、私も真似させていただこうかと」

「そうなんですね。来年もお願いしようかしら」

「ええ、是非」
 笑って答える彰良ではあるが、来年は千夏ではなく、この杏奈が担当になることを考えると、どこか心の中がもやっとした。

「先生。それで、作品はいつ頃、焼き上がりますか?」

「そうですね。今が十二月の頭だから。乾燥に一か月以上かかるんですよね。焼き上げも素焼きと本焼きをいれて十日くらいかかりますから。そうですね、遅くても二月の下旬には。卒園式には充分間に合いますよ。焼き上がったら、どうしましょう。送りますか? 着払いになってしまいますが」

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