魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
出席番号順だから、私と星蘭は前後の席になった。

男の子たちと一緒に教室に入ってきた星蘭が、後ろの席に座る。

後ろから、楽しそうな会話が聞こえていた。

私はカバンの中から本を取り出し、読書に耽る。



「なあ、あの子……」

「ああ、すっごい美人だな……」

「名簿見ろよ」

「双葉鈴蘭……だって、話しかけてみようぜ」



ん? 今、名前を呼ばれたような……。



「あっ……!」



顔を上げた時、後ろから星蘭の声が聞こえた。



「お姉ちゃん、その筆箱あたしのっ……」

「え?」



星蘭が指をさしたのは、私の机の上に乗っている筆箱。

びくりと、体が震える。



「ずっと探してたのに、勝手に取るなんてひどいっ……」



星蘭は目に涙をためながら、悲しそうに私のほうを見つめている。

これは……昨日、星蘭が私に……。

そう思ったけど、ぐっと言葉を飲み込む。

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