魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
何をしても嫌われてしまうのは、もうどうしようもない。



「星蘭ちゃん、体調悪いの? 大丈夫?」



後ろで、星蘭とクラスメイトが話している会話が聞こえた。



「昨日、ちょっといろいろあって……」

「まさか、またお姉ちゃんにいじめられたの?」

「……」

「最低……」



いちいち心を痛めていたらキリがない。

そうとわかっていても、悪意を向けられるのは慣れなかった。



「自分が“絶世の悪女”って呼ばれてること、知らないのかな」



絶世の悪女……。

確か中学の時は、“氷の悪女”って呼ばれていた。

また新たに、仰々しい汚名がついたことに悲しくなる。

私はいつも、悪女の立ち位置から抜け出せない。

一生、このままなのかな……って、また後ろ向きになってる。

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