魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「……欲しいもののひとつやふたつ、あるだろう。言ってみろ」



欲しいもの……。

どうしてフードさんがそこまでお礼にこだわるのか、わからない……。



「なんだって用意する。どれだけ高価なものでもかまわない。車でも家でも島でもやる。金塊でもいい」



フードさんの発言に、驚いて目を見開いた。

く、車? 家、島に金塊って……そ、そんなものねだるわけがないのに……!

もしかして……私が貧相に見えるから、気遣ってくれているのかな……。

髪は傷んでいるし、肌も綺麗ではないと思う。

お金もかけていないし、持っているものも傷んでいるから……。



「……どうしてお前はそんな困った顔をする?」

「え?」



顔を上げてフードさんを見ると、表情はわからないけど、なぜか悲しげに見えた。
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