魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~

無力





午後の授業は、どこか上の空だった。

可憐なすずらんのネックレス。いつもはない首筋に感じるひんやりとした感触が嬉しくて、くすぐったくて、気を抜いたら口元が緩ん
でしまいそうだったから、抑えるのに必死だった。






次の日の日曜日。

私はテスト勉強の合間に、庭の花壇で見つけた花びらで、フードさんのためにしおりを作った。

こんな素敵なネックレスに比べたら、価値のないプレゼントかもしれないけど……せめて何かお返しがしたくて。

フードさんは黒が似合うけど、黒い花はないから、ヤマボウシの花弁で作ったしおり。

喜んでもらえるとは思えないけど……使ってもらえれば嬉しいな……。

出来上がったしおりを見ながら、フードさんのことを思い浮かべた。

早く、明日が来て欲しい……フードさんに会いたい。

最近、そればかり考えている気がする。

首にかかっているネックレスに、手を伸ばした。

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