婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
Prologue

「……双子だと? どういうことだ、こんなことは今まで一度だって起こったことは無かったのに」

 それは、平和の象徴とも言われる大国ゼーフェリングに今までに無いほどの大雪が降った夜のことだった。

 おぎゃあ、おぎゃあと赤ん坊の泣き声が部屋に響いている。普通ならすぐに誰かが抱き上げるはずなのに、その場にいる全員がただその赤子たちを見つめているだけだった。
 赤ん坊の母親は難産に耐えきれなかったのか、その子達を産み落とすと同時に息を引き取ってしまった。
 母を亡くした子供達の悲しそうな泣き声を聞きながら、大人たちはそれどころではないと言うようにヒソヒソと話をしていた。

「一人しか産まれるはずのない聖女が双子など、なんと不吉な……」

 この国の王族に古くから仕えていた占い師の老婆はガタガタと震え、ショックも隠せないような表情のままそう言い放った。その言葉にこの部屋にいた全ての人間が息を潜め、顔を見合わせている。

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