婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!

 大きな声で力強く泣き声をあげる金色の産毛の赤子、だがもう一方で泣くこともせずほとんど動かないままの白い肌の赤子。まるで対称的なその双子の様子に占い師はこう告げた。

「一人は聖女、そしてもう一人は悪魔の子に違いありません。いつかはこの国の厄災になりまする、産まれたのは一人だけにした方がいい。ファーレント侯爵様、どうかご決断を!」

 老婆はそういうが、彼にとってこの二人の赤子は最愛の妻の忘れ形見となった。簡単に一人だけ選べと言われて「はい、そうですか」と答えられるわけがない、残された方がどうなるのかなんて聞かなくても分かるのに。

「侯爵様、早く……」

 間もなく産まれたばかりの聖女を確認にこの国の王がやって来る。妻を亡くしたばかりだと言うのに、二人の父親である彼はその厳しい選択を迫られていた。

「私は……」

 そしてその時の選択が、彼と二人の娘達の運命を大きく変えていくことになる。





< 2 / 88 >

この作品をシェア

pagetop