君の未来が幸せに満ちたものでありますように。
「姿勢、礼。」

ありがとうございました、と声を揃えて言ったあと私は席に座って移動教室の教材をまとめる。ふわあと小さな欠伸をした後、移動しようと椅子から立ち上がる。

「瑞月ーー!理科室一緒に行こ!」

大きな声で私の名前を呼んだあと小走りでこちらに走ってきた女の子、柊花にそう言われ私はこくりと頷き一緒に行こうと笑って言った。

「ねえねえ瑞月、五限なんだっけ?」

「えーと…公民だった気がする。」

「課題あった?」

「今日提出のプリントがあったと思うよ?」

「嘘ぉ!?」

他愛もないことを言いながら私と柊花は立ちながら会話をする。このくだらない時間が私は大好きだった。

私と柊花は小学からの幼なじみで、高校二年生になった今でも私たちはずっと一緒にいる。だからこそ私は柊花のことを何よりも信頼しているし、友達が少ない私と居てくれる柊花は本当に優しいと思う。

「うわ、また陰キャと話してる…」

またか、と私は少し憂鬱な気分になった。

私はクラスから少し孤立している。理由は分からないけれど、「周りと群れないのがムカつく」と聞いたことがある。私もそれは十分理解しているしそれは個人の考えであるから私は何も思っていない。

そんならひそひそとした声が聞こえたのか、柊花は呆れたようにすたすたとそこに歩いていった。

「あのさぁ、そんな陰口しか言えないくせに瑞月のこと馬鹿にするのやめてくれる?大して頭も良くないのによくそんなこと言えたね」

鼻で笑うようにそう言い放った柊花は陰口を言っていた本人の私の妹、陽向にそう言い残してすたすたと私のところに歩いてきた。

「瑞月、我慢しなくていいんだよ?辛いこと言われたならすぐチクらなきゃ」
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