卒業したらきっと。
「ずっと、海堂さんのことが、


す、好き、でした………!」


「………………え?」


ポカンと開いた口。


私のことが好き…………?


そう理解するのには少し時間は欲しかった。


「ど、どういう、こと?」


まだ混乱している私が何とか絞り出した言葉。


「その……

高校に入った時………

か、可愛いくて、華奢で……す、好きになり……ました。」


思わず持っていた買い物袋が落ちそうになった。


ますます頭が追い付かない。


高校に入った時………


ってことは、

三年前………………?


「気持ち……伝わった、かな……?」


そう聞く七瀬くんは可愛い乙女のようにまで見えた。


「……う、うん。何とか、………」


私も何だか恥ずかしくなる。


モジモジとしている七瀬くん。

返事、したほうが……………っ


きっとまだ私の心は雪くんに向かってる。

半端な気持ちじゃ、七瀬くんを傷付けちゃう。


だから、せめて七瀬くんにはそんなことしたくない……っ。


「あの、七瀬くん………。」


『ごめんね。』そう言いたいのに上手く言葉が出てこない。


喉に突っ掛かっている。

そんな様子に気づいた七瀬くんは苦笑いで言った。


「知ってるよ。

海堂さんが美南のこと、好きって。


た、ただ伝えたかっただけ、だから。

変に考えなくていいよ。」


強がっている声。

私は目を大きく見開いた。


皆知ってるのかな、

私の雪くんへの気持ち。


だったら、余計七瀬くんは────


「ごめんね。気を悪くさせちゃって。

それじゃあ。

ただ、


───絶対幸せにするよ。」


目線を私から外し、後ろへ振り向いた七瀬くん。


───賭けてみよう、って思ったから。

そう、だよね………


いつまでも未練ぶら下げてたって……


でも、そうしたら七瀬くんが───

そう考えて私は首を横に振った


「な、七瀬くんっ」


買い物袋をギュッと握る。


「ん?どうしたの?」


そう言って振り返る七瀬くん。


「あの、友達、から、で良いなら………


私もいつまでも引きずっていられない、から…………っ」


恥ずかしくなりながらも必死に伝える。


七瀬くんを見ると顔が真っ赤。

さらには少しニヤニヤとしていた。


「そ、それ……ほんと?」


珍しい物でも見たかのような反応に戸惑った。


「あ、う、うん。


私も一歩前に出てみようかな、って。」


カァっと体全体が熱くなったのを感じる。


「じゃ、じゃあ、

よろしく、お願いします………っ」


笑みを隠せていない七瀬くん。


「こ、こちらこそっ………」


そんな七瀬くんの姿に自然と私も笑みが溢れる。



太陽に照らされながら影が二つ、重なった。


END
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