メルティ・ナイト


でも、いまならわかる。


校舎の中におそるおそる入った途端。

目に飛び込んできたのは色とりどりの鮮やかな髪をもつ男の子たち。


廊下に立てかけられている鉄バット。

どこからか聞こえる雄叫び。

蘇る、不可解な傷があった門。


ごくり、と息を呑む。



なんなら、平然とお昼のいまになって登校してきた人だっていて、わたしを追い抜きながら口笛を吹いている。

それも、ひとりやふたりじゃない。何人もだ。


他の学校なら大幅な遅刻。


生活指導室に呼ばれるのは当たり前の出来事なのに、それすらも疑問なく受け入れてしまうこの空気。



校長先生が言っていた、昼からのほうが学校の雰囲気が掴める、というのは。

朝はあまり生徒が登校していないから、ってこと……?




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