メルティ・ナイト
ばちばちと火花を散らして、赤坂さんと猫目の彼は睨み合っている。
突然の言い合いが始まり、どうしようなくて、おろおろとふたりを交互に見る。
話している内容は、とてもしょうもないだなんて……言えるはずもなく。
うーん……、ケンカするほど仲が良いってことなのかな?
ヒートアップしていく言い合いを複雑な表情で眺めていると、後ろから肩をつつかれた。
不思議に思って振り向くと、後ろの席に座る茉央くんが、机に肘をついてつまらなそうにわたしを見ていて。
どうかしたのかな……?
数秒そのままでいると、重たそうに茉央くんは口を開いた。
「美六と楓ばっかり、ズルい」
「え」
どういうことかわからなくて、首を傾げる。
ズルいって、なにが?
鈍いわたしの反応に茉央くんは目を細め、視線をそらさずに平然と言った。
「すずかがあいつらばっかり見てんの、なんか嫌」
「……へっ?!」
それはヤキモチですか……?!
なんだかからかわれているような気がするけれど、……心臓が高鳴ったのは不可抗力だ。
ボっと頰が熱くなって焦げそうなわたしに、またもや新しい声が降ってきた。
「へえ、茉央がナンパしてる」