メルティ・ナイト
いま来た、という茉央くんの言葉のとおり、金髪の彼は鞄を手に持っていた。
どうやら本当に、いま登校してきたばかりらしい。
しかも、茉央くんの隣の机に座ろうとしている。
ちなみに、未だに赤坂さんと言い合いしている猫目の彼は、わたしの前の席のようだ。
なんでこんなに転入早々、わたしの周りには美形の男の子たちだらけなのか……と、目まいが起きそう。
思っていた平凡な日常は送れそうにない。
まあそんなもの、この学校に足を踏み入れた時点で散った願望なんだけどね。
わたしが見上げたおかげで、令と呼ばれた彼と目が合った。
どこか関わりを遮断しているような冷たい瞳が、わたしを捉える。
雰囲気のある彼にごくりと息を呑んで構えていると、またもや皮肉混じりに言葉を投げられた。
「茉央のお気に入りの女の子って感じ」