メルティ・ナイト


令さんはというと、いったん会話を止めてわたしを見たあと、再度茉央くんに視線を落とす。


「さっすが瞳フェチ」



呆れたようなその呟きは、わたしの耳にも届く。

茉央くんが瞳フェチだということは、彼らの間では有名なのかもしれない。


……そもそも、瞳フェチってなんなのだろう。

当たり前のように彼の周りでは受け入れられているけど、いわゆる手フェチや髪フェチなんかと同じなのだろうか。


どこか複雑な気持ちで聞いていると、茉央くんはくすっと笑って令さんに言う。



「令。この子に手、出さないでね」

「……言われなくても」


「そ? ならいいけど」

「……目が笑ってねえっての」






< 58 / 84 >

この作品をシェア

pagetop