メルティ・ナイト
令さんはというと、いったん会話を止めてわたしを見たあと、再度茉央くんに視線を落とす。
「さっすが瞳フェチ」
呆れたようなその呟きは、わたしの耳にも届く。
茉央くんが瞳フェチだということは、彼らの間では有名なのかもしれない。
……そもそも、瞳フェチってなんなのだろう。
当たり前のように彼の周りでは受け入れられているけど、いわゆる手フェチや髪フェチなんかと同じなのだろうか。
どこか複雑な気持ちで聞いていると、茉央くんはくすっと笑って令さんに言う。
「令。この子に手、出さないでね」
「……言われなくても」
「そ? ならいいけど」
「……目が笑ってねえっての」