身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 荷解きと片付けを終えたのは十五時過ぎ。

 あとは婚姻届を役所に提出し、実家に子どもたちを迎えに戻る。

 夕飯は一緒に食べようと言われているから、今から届を提出して向かえば時間には余裕があるだろう。


「なんか、子どもたちがいないと家の中が静かですね」

「そうだな。賑やかなのがこの家の当たり前だから、妙な感じがする」

「そうですね。なんか、逆に落ち着かない」

 菜々恵はそう言ってクスッと笑う。

「じゃあ、そろそろ子どもたちのところに戻るか。婚姻届を出して」

「はい」


 使い終わった段ボールをまとめた束を玄関に運び、リビングに戻って用意しておいた記入済の婚姻届を手に取る。

 そんなとき、突然背後から背中に抱きつかれた。

 回された腕にはぎゅっと力がこもり、体が密着する。

 菜々恵からこんな風にくっついてくることは思えば初めてで、鼓動が忙しなく動き出す。

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