身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
2、狭いシングルベッドで



 季節は梅雨を迎えた。

 七月に入ると毎日と言っていいほど雨の日が続き、今日も朝から霧のような細かい雨が世界を濡らしている。


「はぁ……」


 新たな患者の入院受け入れが決まった病室で最終チェックの清掃を行いながら、つい深いため息をついていた。


 いけないいけない……。


 ひとりでいるからまだいいけど、仕事中に人前でこんなため息をつくわけにはいかない。

 ここのところの私はずっとこんな調子。

 それは、あの水瀬先生に食事に誘われた日から……。

 あの日から、困ってしまうほど水瀬先生のことを考えてしまっている。

 仕事の一環だと言われて行った食事だったのに、水瀬先生は単なる誘い文句だったなんて言った。

 そう言えば私が応じやすいだろうって思ったみたいだけど、それですら〝私なんかを?なぜ?〟と思ったほどだ。

 それなのに、水瀬先生は私と個人的に接点を持ちたかったからなんて更なる信じられないことを口にした。

 水瀬先生が私の存在を、働いている姿を見てくれていたことだけでも驚きだった。

 それなのに……。

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