身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
3、運命の悪戯



 八月に入り、毎日うだるような暑さが続く。

 東京の気温は連日三十五度近くまで上がりエアコンはかかせない。

 病院内は全館空調が管理されているから、院内は患者さんもスタッフも快適に過ごせる環境だ。

 今日の午前中は、消毒室でひたすら器具の洗浄と滅菌作業に徹していた。

 お昼休憩に行っていいと言われて病棟を出ようと廊下を歩いていると、患者さんに呼び止められトイレに連れていってほしいと頼まれた。

 ちょうど手も空いて休憩に行くところだったし、トイレの介助に入って部屋までお送りしてきた。その流れでついつい話し込んでしまい、気づけば休憩の残り時間が三十分しかなくなっていた。

 こういうことは私あるあるで、つい患者さんと夢中になって世間話に花を咲かせてしまう。

 看護師の先輩からは『上手いこと適当に切り上げなさいよ』なんて言われるけど、それがなかなか難しい。

 業務に支障のないように気をつけているから怒られはしないけど、自分の休憩を潰してどうするのと言われるのだ。

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