こいろり!



「…………ち、がくて、()てーんだよ…」

「えぇっ?……あっ、ごめんなさい!」


現状を理解したらしい華花が、パッと離れて、今度は俺の手の甲に小さな掌をそっと乗せた。


華花が元気そうで本当に良かった──。

泣き出しそうな女の子が唇を噛み締めて震えているから、今すぐ抱き締めたい衝動にかられる。
けど、手も足も肋も半端なく痛いし、後ろには周、隣にはニヤニヤしてる赤司もいる。そんな事ができるわけがない。



「だって、だって。泰良が死んじゃうかと思ったんだもの」

「あぁ?死ぬかよ」


その大きな瞳から涙がボロボロと溢れ落ちていく。頬に貼られたガーゼが涙で濡れて、より痛々しくなっていった。

コイツも、昨日殴られたんだよな。きっと親にだって殴られたことないだろうに。そんな奴が何で俺なんかの心配してんだよ。







「お嬢様、違います。泰良さまのせいでお嬢様が酷い目にあったんですよ」


華花の後ろに立つ周が、大きな溜め息をついて俺に冷たい視線を向けた。



「周!泰良じゃなくて、あの男の人達が悪いのよ!」

「いいえ。これは泰良さまの日常的な素行の悪さあって故に引き起こされた案件です」

「違うわ!泰良のお友達だって簡単に信じて、勝手についてっちゃった私が悪いの──」






「華花、周の言う通りだよ。全部、俺が悪いんだ」


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