こいろり!



「華ちゃーん、あと少ししたらケーキ切るからおいでー」

「わ、分かったわー!今、いくわ!」


慌てて返事をする華花が体を起こしてベッドからパッと立ち上がる。



「んじゃ、戻るかって。この顔じゃ、ちょっとマズイか?」


俺も立ち上がって、扉の前に立つ華花に近付いた。真っっ赤に染まる頬に手を触れると、こいつの体が大きくビクついた。



「あ、(わり)ぃ……」


やっべー、やり過ぎたか?
少し気まずい雰囲気になったと思ったのは、俺だけだったのか──




「ねぇ、泰良。さっきの凄くドキドキするキス、もう1回してみたいわ!」


くるりと振り返る華花がキラキラと目を輝かせて口を開いた。





「あぁ?……マジかよ?ったく、しょうがねーなぁ」


華花が、ふふっといつもの笑顔を見せるから。こっちがドキドキだっつの。その小さな手が俺の腕を掴んでぐいっと引っ張った。


この小さなお嬢様が隣で幸せそうに笑ってくれればいーや。なんて、甘いキスをまた1つ──。



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