儚く甘い
みわの言葉は図星だ。
みわのそばでは吸わないようにしようと、たばこはバックにしまってある。

「ふーん。」
「なんだよ」
意味深に声を出すみわを見る達哉。
「ありがとう」
「だから違うって言ってんだろ」
結局認めない達哉。
でも、その日以降も、達哉はみわの前で煙草を吸うことはなかった。

午後の講義中、やけに動きの少ないみわの方に達哉が視線を向けると、真っ青な顔をしてペンを握る手がかたかたと震えていた。

「おい」
思わず声をかける達哉。
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