儚く甘い
返信しないまま講義が終わり、達哉は適当に甘い飲み物を買って屋上に向かった。

寝ているかもしれないからと、そっと扉を開ける。

するとそこには手すりに寄りかかりながら空を見上げているみわがいた。

つい思いだす。
初めてこの屋上で会った日のことを。

今はもう死のうなんて考えはしていないと後ろ姿からでもわかる。
「よっ」
大丈夫かとあまり聞きすぎてもいけないかと、中途半端に声をかける。
「よっ」
みわもどう言ったらいいかわからず、達哉と同じように中途半端に返事を返した。
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