儚く甘い
急に大きな声を出したみわに達哉が驚く。
「もしかして、彼女いた!?」
純粋すぎる顔で聞いてくるみわに、達哉は思わず笑う。
「その反応は」
途中まで言いかけたところで、みわが急にしゃがみこむ。

「おいっ!」
咄嗟にみわを支える達哉。
ゆっくりと屋上の地面に座らせる。
みわの顔色は太陽のまぶしさでよくわからなかったが、まだ真っ白なほどに悪い。
唇の色も今日は悪く見えた。

「ごめん。体力の限界きた。」
ふふっと笑いながら言うみわ。
達哉は朝から自分のポケットに入っている水を出して、みわにキャップを開けて渡した。
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