儚く甘い

「こうすると、背中があったかい」
少しずつ春に近づいている季節。
まだまだ風は冷たい。

だからこそ、お日様の光を浴びるとぽかぽかと温かさを感じられる。

「ほら」
達哉は今朝返されたばかりの自分の上着を脱いでみわの体を支えながら、羽織らせる。
「ありがとう」
驚くほどみわの手も体も冷たい。
「あ」
達哉は屋上に来る前に買っていた甘い飲み物をみわに渡す。
「ほら」
渡された飲み物はまだ温かくて、みわは両手で包み込むようにしてもらう。
「私のために買ってきてくれたの？」
「まぁな」