儚く甘い
みわの気まずさを知ってか知らずか、達哉は厨房の方を見ながらみわに返事を返す。
「死んだんだ。5年前に」
「・・・そっか・・・ごめん」
「別に。もう昔のことだし。」
シュンとしてしまったみわをフォローするように言う達哉。

「・・・私には8歳年上のお兄ちゃんと6歳上のお兄ちゃんがいるの」
「・・・」
みわも厨房の方を見ながら話し始める。

「いつも私のわがままを聞いてくれる。大切にしてくれる。私の病気を治そうって今も努力をしてくれてる。」
「いい兄貴たちなんだな」
「うん。よすぎるよね。私たち、兄弟喧嘩もほとんどしたことない。」
歳が離れているだけじゃない。
特に父が亡くなって、みわが同じ病気を発症してからは二人の兄も、母もみわを叱らなくなった。
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