儚く甘い
今日は特に、隆文も裕介も、母も、みわの食欲が落ちていることが気がかりで仕方ない。

「隆文の車でいいんだろ?」
「おう。」
「みわー支度できたの?」
階段の下から聞こえてくる声にみわが支度をしてから階段を降りる。

「行こうか」
「うん」
家族で向かうのは、一年に一度、必ず行く場所。

父の眠る場所だ。

「お母さん、お菓子用意しちゃった。」
運転席には隆文。助手席には裕介。
後部座席にはみわと母。
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