儚く甘い
「ねぇ。」
「ん?」
「私が病気だから?」
「何が?」
「私に優しくしてくれるのは私が病気だから?」
つい聞いてしまった自分の口から出た言葉をすぐに後悔したみわは「何でもない」とごまかすようにもう一口クレープを食べる。

達哉は少し黙ったあと、みわの口についたクリームを今度は口づけで拭う。

「そう思うか?」
「・・・」
達哉の突然の口づけにみわは、更に顔を真っ赤にして、視線を泳がせる。

「そういうの、私、慣れてない。」
そう言ってごまかすみわに、達哉も「俺も」と空を見上げた。
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