儚く甘い
高校を何とかギリギリの単位で卒業する予定だった達哉。
兄は大学に進学することをすすめた。
でも達哉は学校という場所に通う意味を見出せず、高校を卒業したら就職しようと決めていた。

兄との最後の喧嘩は皮肉にも人生は一度きりなのだから、夢や目標を見つけないともったいない、人生後悔すると熱弁する兄に、嫌気がさした達哉が兄を否定したことが原因だった。

兄は達哉にたくさんの大学や専門学校の資料をくれた。
資料ひとつひとつに付箋がつけられていて、お勧めのポイントまで書かれていた。

でもそれを達哉は処分した。

今となっては幼すぎる自分の行為が恥ずかしくてたまらない。
そして、兄の想いを捨ててしまったことを後悔せずにいられない。
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