儚く甘い
買いたてのオレンジジュースを一口飲んだ達哉。
「ほら」
そうしないと、みわは開けずにそのままにしてしまうことがあると知っている。
達哉に渡されたオレンジジュースを口に含むみわ。

「おいしい」
「だろ?」
ほんの少しだけ飲まれたオレンジジュース。
ひんやりとしたペットボトルが心地よい。

屋上から見える夕日を見つめる。

「きれいだね」
「あぁ」
こうして二人で夕日を見られるのはあと何回くらいだろうか。

そんなことを考えると、不意に涙が溢れそうになり、はっとして考えをとめる。
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