儚く甘い
この春から正式に小学校の教師として、母校で勤務を始めた達哉。

毎日まだまだ慣れないことが多くて、目まぐるしい。

それでも、兄と葉月の夢だった教師という世界に足を踏み入れ、何となくその理由や意味が分かったような気がして、毎日充実していた。

ただ・・・

心の中にいつまでも満たされない部分があって、その部分がどうしても日に日に膨らんでいる。

達哉の心の中に、その満たされない部分が何をしても膨らみ割合を増やしていることに、気づきながら、解消することも、諦めることもできずに今日までの日々を送って来た。


< 328 / 356 >

この作品をシェア

pagetop