儚く甘い
「お久しぶりです。」
何とか言葉を絞り出したまま、達哉は視線を落とす。

「元気だったか?」
「はい」
その足音の本人は、みわの兄、隆文だった。

「教師になったって聞いた。ちゃんと夢をかなえた君に、妹は励まされたはずだ。」
「・・・」

一年後に会おうと約束した日から、みわとは一切連絡を取っていない達哉。

何度もみわの携帯電話に連絡をした。
メールもした。

でも、その電話はつながることはなく、メールも返信のないままだった。
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