儚く甘い
「ここに、妹は、みわは来れない。」
沈黙を破り、いつも以上に低い声で言う隆文。

達哉は、声にならないまま、ただうつむきながら首を縦に振った。

認めたくない。

そんな事実、望んでいない、願っていない事実を知りたくない。


かすかでも希望を持ちながら過ごしていたほうがまだよかったかもしれない。

今日、この場所で会いたいとメールを送った自分を責める。

「これ」
うつむく達哉の視線に入ってくる、封筒。
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