儚く甘い
「みわが君にあてて書いた手紙なんだ。」
「・・・」
隆文が差し出した封筒には懐かしいみわの文字で『達哉へ』と書かれている。

どうしてもその封筒に手を伸ばせない。

「みわは・・・」
怖くて仕方ない。
でも、知りたい。

「みわは・・・どこに・・・?」
達哉の言葉に、隆文が言葉に詰まる。

封筒を達哉の手に握らせて、隆文は空を見上げる。

その視界いっぱいに、桜の花が揺れている。
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