儚く甘い
急に現実に戻されるみわ。

携帯電話の画面を消して、ポケットにしまう。

その時、達哉からもらったガムがポケットに入っていることに気づいて、講義をしている教授にばれないように包みを開けて口に含む。

その一部始終を横目で見ていた達哉。

見る見るうちにみわの顔が真っ赤になって、耳まで真っ赤になる。

「からすぎ・・・」
達哉の方を必死な顔で見るみわに、達哉は思わず「ぷっ」と吹き出して笑った。

「こら、そこ、静粛に。」
教壇に立つ教授から声をかけられて、達哉は笑いをこらえて、ごまかすように咳ばらいをして口元を手で隠した。
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