儚く甘い
少ししてからお互いに顔を合わせた二人。
無邪気に笑うみわ。
あきれたようにみわを見て、その頭をこつんとたたく達哉。
教授に気づかれないよう、必死にむせるのを我慢しているみわに「出せ、もう。」と小声でガムの包み紙をみわの口に当てる達哉。
みわが包み紙を達哉から預かりガムを吐き出すと、達哉はいつものようにポケットからペットボトルを出して、キャップを開けてみわに渡す。

こっそりと前の生徒に隠れて水を飲むみわ。
ただでさえ辛くなっている口の中に、水が入ったことで更に辛さが広がって、再び顔を真っ赤にするみわ。
「こっちみんなお前。」
達哉は笑うのを必死にこらえながらそっぽむく。


2人の距離は明らかに近づいていた。

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