儚く甘い
「・・・」
「5日に一回、2時間かけて点滴して、強い薬を体に入れないと、死んじゃうの。私は生きていられるのは薬があるおかげ。」
「・・・」
達哉の胸の中で、話し続ける。

「お父さんも私と同じ病気で、ずっと前に亡くなった。この薬が効かなくなったら私は死んじゃうのに、どんどん効かなくなってる。」
みわの消えそうな声に耳を澄ませる達哉。

「私の命を救ってくれる薬なのに、私のポンコツな体は薬の成分を体から排出しようってしてるらしくて、全然いうこと聞いてくれない。私の体なのに。」
みわは達哉の腕の中で自分の手で、自分の体をこぶしで打ち付ける。

「迷惑かけてばっかり。心配かけてばっかり。こんなポンコツな私、大っ嫌い。」
加減せず自分の体をたたくみわ。
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