玉響なる風は、水とともに
異変
日曜日になり、ギルベルトから呼び出された風音たちは屋敷に来ていた。
「仕方なく、仕立ててやったんだからな!キャロル、帰るぞ!」
そう言って、風音たちに服を押し付けて去っていく少年――ライムの背中を、驚きながら風音は見つめていることしか出来なかった。
「双子の弟がすみません」とペコりと頭を下げたキャロルは、急いでライムの後を追いかける。
「あの2人は、アレス騎士団の制服を作っている双子だ。それに着替えて欲しい……そしたら、突撃するよ」
ギルベルトの言葉に葉月は戸惑った様子を見せたものの、「分かった」と頷いた。
「皆、待たせてごめん」
ギルベルトの屋敷を飛び出し門の前に移動をした風音たちの姿を見て、イヅナは「3人とも、似合っているわ!」と目を輝かせる。
風音は、白いシャツに袖の広がった黒い軍服のようなワンピースに黒い長ズボンにブーツを履いており、葉月は「やっぱり、風音はかっこいいなぁ」と目を輝かせた。
「ふっ。そうだろう?僕は、何着てもかっこいいんだ」
白いシャツに赤いネクタイ、その上から黒い着物を着た葉月は、風音はこうじゃないとな……とふっと微笑む。
「……」
そんな2人を少し離れたところから、白いシャツに膝丈のスカート、その上から白いパーカーの付いた水色のローブを羽織った真冬は、見守っていた。