ねこのひるねの、ひとりごと

就職活動~卒業へ

修学旅行が、終わったらほぼ学生としての「楽しみ」は終わり。

実際の業務に即した実習や、他の病院への短期の実習。

ぽつぽつと舞い込んでくる求人情報。

本当は短期実習に行った企業病院に行きたかった。
そしたら裏情報。
「今年は女子が受けても男子しかとらん。」と。

くっそー!女子ってだけでダメなんかい。悔しかった。

どこが「男女雇用均等法」の施行じゃい。

国家試験に集中したかったから。早く就職の内定を取りたかった。

と、しばらく待つと。企業病院ではないが、ちょこっと縁があった大学病院からの募集があった。
先生に申し入れ、受験を決めた。

「遠いから、毎日の事やし、しんどいで。ちょっと待ったら?まだ来ると思うで」
母はそう言った。
けど、わたしはきかなかった。

あせっていたのかも知れない。

めでたく、大学病院の内定を手にすることが出来た。
先生方が根回し等、いろいろやってくださったおかげ。
ありがたいことだ。

後は、国家試験。
これに合格しないと、この学校での3年間が無駄になる。

自分の学校で受けられたらええのに。
何回かそんなくだらない無駄な事を思った。

そして当日。
院外実習の時、ちょっと会えたらいいな、と思っていた他校の男子がいたので。

滅多にはかないスカートをきて黒のコートを羽織った。

ふだん乗らない路線に乗り換えると、”クイッ”とスカートの端を引っ張られた。

ああ。逢えたね。頑張ろうね。

向こうがわたしを見つけてくれたことが嬉しかった。
お互いこの先の人生を賭けた「国家試験」が始まる。

教室は別だったから手を振って別れた。

これは、もう2度と受けたない。
そう思った試験だった。

たくさんの受験生が帰っていく中で「彼」は見つけられなかった。

まあ。この後「縁」があったらあえるでしょ。逆に無ければこれまで。
そう思った。

家に帰ったら母に
「大丈夫やとおもっとったで。スカートはく気持ちの余裕があったみたいやし。」

はい。母の勘を侮るなかれ。
バレバレだったようで。

就職後に発表された合格通知は、同期の子が知らせてくれたけど。

わたしは仕事が終わったあと、雨の中傘をさして合否結果を見に行った。
そう、「彼」の合否を知りたかったから。
このまま縁が切れるなら、よけいに知っておきたかった。

「よかったね。おめでとう。」

そして。たぶん。さようなら、だな。お互い頑張ろ。

卒業式には袴姿で行かせて貰った。
もちろん、レンタルだけど。

何か月も前から母と祖母が選んで予約しておいてくれたもの。
「成人式の振袖と、卒業式の袴姿。どっちかしか無理やねん。どっちがいい?」

「卒業式で袴!」
即答した。

わたしは早生まれ。だから成人式でなく卒業式の時がちょうど20歳だったのだ。

こうして、学生生活は終わりを告げた。

あ。そうそう。内緒の目標は。
「3年間。皆勤。無遅刻、無欠席」達成!!
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