ねこのひるねの、ひとりごと

鉄線との惜別

わたしが3歳~14、5歳まで暮らしていた家。

わたしとしては、この家が「理想の家」だと思っている。

ここから引っ越しをしなくてはならなくなる事なんて考えてなかった。

沢山の花達ともここで出会った。
全部、母が丹精込めて育てていたもので花木から球根、山野草などなど。
子供の頭ではついていけないくらいの種類が植えられていた。

その中で一際目を引いたのが。
玄関横の白壁に、テグスでてをして植えていたのが鉄線。

春の朝日をスポットライトにに江戸紫、藤娘、白雪姫などなど。

色とりどりに蕾を咲かせては大きく育って咲く。

後壁が真っ白だからコントラストも抜群!

毎朝、通学の元気は彼女達からもらっていた。

つる性植物だから、地植えで元気にあっち、こっちと伸びていく。

それを、母は「こりゃ、アンタそっち行ったらあかん。ほいあんたはこっちさこんかい。」

行きたいところに気まま勝手に伸びるつるを毎朝、呼び戻して。
(つる性は大変だ!)

2株のつるが絡んでしまって、「えーい。どっちがどっちよ!」
ともなってくる。

好き放題できるから、この子達もご機嫌でしょ。
目一杯つるを張って思い切り咲いてや。

引っ越しで鉢植えに植え替え、くるくるとつるを巻く。
何色か色数を選ぶしかなかったけど。

手放したくなくて、マンションまで連れて行った。

ごめんな。
環境はキツイな。
まだ。
よう手放さんくって。

頑張って、ヒーヒー言いながらさいてくれた。

でも、そろそろ。
お別れかな。
ありがとう。ずーっと一緒にいてくれて。

これからは。
咲きやすいところで、思い切り咲いてね。

いつか。縁があったなら。
また。よろしくね。
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