『 最後から、始まる。 』~卒業~ きみと過ごす残り1ヶ月

「昼休み、オレのこと見てた?」



放課後

部活に行こうとしたら

杉山に言われた



「見てない

たまたま見えた」



「見て見ないふり?」



「そーじゃないけど…」



見てたのバレて

恥ずかしかった



「オレ、ちゃんと励ましたのにな…」



たしかに



どれだけ杉山が

心の支えになってくれたか…



「来週、大会なんだよね…」



「そーなんだ…
頑張ってね」



「それだけ?
それじゃ頑張れないかも…」



じゃあ

杉山があの時してくれたみたいに

手を握ればいいの?



杉山の手を握ろうとしたら



「杉山ー!先行くぞー!」



声がして

握ろうとした手を引っ込めた



「明日の昼休み
ピアノ聴かせてよ」



「え!?」



「じゃ、明日聴きに行くからな!
逃げんなよ!」


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