『 最後から、始まる。 』~卒業~ きみと過ごす残り1ヶ月

「おじゃましました」



誰もいないのかな?

なんの音もしなかった



家族いたら

あんなことしないか…



杉山も何も言わないで

玄関を出た



少し前を歩く杉山の背中



もぉ

この背中を見ることもないのか



「浅倉…」



杉山が歩きながら

振り返った



「なに?」



歩きながら返事をした



「…元気でね…」



やってる時以外で

杉山と目が合ってる



なんか照れる



「…うん、杉山もね…
頑張ってね…陸上」



「うん、ありがと…」



ホントに最後だ



最後なんだ



元気でね



なんか

違う言葉を期待してた



同窓会でもなければ

杉山とは

一生会わないだろうな



私達には

繋がるものは

何もないから



友達でもなくて

恋人でもない



ただのクラスメイト



でも



私は杉山を

一生忘れることはないだろうな



杉山はきっと

大学でも

私みたいな子みつけて



私のことなんて

すぐ忘れちゃう



でも杉山は

あの人のことは

一生忘れられないんだろうな



杉山の初恋

私の初恋



初恋は

きっと忘れられない


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