いいかげんに気付きなよ。
「よし、決めた。
遠距離になっても会いにいくから。
俺、伊坂が思ってるよりずっと伊坂のこと好きだし、やっぱり他の奴にとられたくない」
「ちょ……」
「そー考えると、悩んでたのバカらし……どうせ忘れらないくらい好きなんだから
最初からいえばよかった。
伊坂のことすごく好きだって」
「……も、ももももうやめてっ!恥ずかしいからっ!!」
ばっと葵くんの口元を手でおおう。
これ以上、好きだの、忘れられだのと甘いことばったかり言われてたら恥ずかしさで死んでしまう。
「……伊坂真っ赤。まったく俺の気持ちに気づかないから少し気にくわなかったけど……
まぁ、その顔が見れたから許してあげる」
捕まれた手首を優しくなぞる葵くんの顔は
私に今まで迷惑かけて笑ってた時とそっくりで。
「……ね、伊坂。
あと1ヶ月、俺のことで頭いっぱいになってるといーよ。
てか、俺のことばっか考えててよ」
ね、と私の顔を覗き込んでくる。
「……ち、近っ!?」
「ほんとかわいい。
……さて、それじゃ帰ろー!
俺もう疲れてへとへとなんだよねー」
「……は、はい?」
何事もなかったかのように机の作文用紙を手に葵くんは教室を出ていく。
……それはとても楽しそうに。
「……う、嘘でしょ」
卒業して、問題児から解放されると思ったのに。
「これはどーいうことなの……葵くん」
……私の新しい春は前途多難になりそうな気配がします。