君の息にピリオド.
頭を、
あの鉄パイプで殴られたような気がした。

私含め全員、この状況に絶句しながらも
ー自分ではないと、
   無闇矢鱈に発言はできない。

…無法地帯よりも心が削られる、
常識と情があるからこそなるこの状態。

夏なのに冷や汗が腰まで流れ
鳥肌は止まる気配などなかった。


「怪しいけどね、はは、…私は違うよ」

「なっ、俺だって違う。なあそうだよな?」


紗羅と食満の必死の否定にも
心は揺さぶられない。

否、“揺さぶられている”のではあるけれど、以前のように信頼はできないのだ。

問題の答えは漢字で四文字の人だろう。

四文字の人は、
『二口 食満』『百瀬 艶子』『金剛原 遥』だけだ。…平坂と渡は三文字。

これで渡が共犯者であり、
私たちを騙したとは考えられないだろう。

そこの部分の確信は持ててよかった。


話が進まない。すると
疑われている中の艶子が重い口を開いた。


「願いなんだけどさ、
共犯者がいないってことはないのかな…」

「…でも、四文字で回答しなさい、
“名前で”って書いてあるから」


艶子の冷静な問に湊は告げる。

優しい言い方だがどこか棘のある、
冷たい口調。励ましはしないのだろう、

共犯者だった時の
心のダメージが大きくなってしまうから。
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