君の息にピリオド.
非日常の音(本編)
「“環”、
今から一時間後までに高校に着いてくれ。
頼む、許して。ごめん、助けて」


いたって普通の夏休み、
少し曇りの過ごしやすい天気の真っ昼間。


私はクラス一同は学級委員であり、
友人でもある『渡 大和』に呼び出された。

その日は茹だるような暑さの日。
プルルルとなった電話は非日常を知らせた。

電話越しに伝わる彼の切羽詰まった声と
途切れ途切れの、異常なメッセージ。

そして何を匂わせたのか真っ黒なアイコンに受験も忘れ飛び出したのを覚えている。

呼び出されたのは私たちの通う高校、
電車で片道30分ほどの距離だ。


約束の時間には間に合ったはずだったし、
呼び出した時の声は紛れもなく渡だった。

これは確信する、声も口癖も、
少し独特発音も私やクラスメイトでさえ
到底真似できないから。

しかし、
高校についても彼の痕跡はわずかすらない。

高校には私含め7名着いており、その後
5名汗を垂らし地面踏み締め駆けてきた。

「合計12名」。

少ない人数だが確かに全員揃った。
しかし幾ら待っても彼はその場に現れない。

クラスメイトたちは私と一緒で
彼に呼び出されたという。

時間帯は違っていて、
3日前にこのことが告げられた人もいた。

予定がいつもぎっしり詰まっている人は前もってそう伝えられていたと考えられる。

呼び出された内容も海に行こうや、
勉強会をしようなどと様々だった。
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