追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 桶の中はいろんな種類の川魚で溢れていた。ざっとみても三十匹以上はいて、とてもお昼だけでは食べきれない量である。案外不細工フグルアーは、この川の魚たちの好みだったのかもしれない。

「待って下さいね。すぐに生簀を用意します」

「そうだな。鮮度がいい方がうまいだろう。お願いしてもいいかな?」

「はい、お任せください」

 私は生簀をイメージした。
 日本料理屋とか寿司屋にあるようなものを思い出して、キャンプ場の隣に出す。それから水を汲んで、釣って来た魚を入れると、ひしめき合いながら勢いよく泳ぎ始めた。

「食料がこれほど潤ったのは初めてだよ」

 ポツリとディオが言った。

「えっ、そうなんですか?」

驚いてみたものの、実はグリーランドの食料事情が悪いのは気付いていた。出してくれる食事は肉と少しの山菜。葉物野菜や根菜はなく、魚も卵もない。ずっとそれだけでは、栄養も偏るだろうなと思っていた。

「この土地は土のせいか、野菜の育ちが悪くてね。畑も造ってみたんだけど、すぐに枯れてしまうんだ」

「あっ、もしかして、私たちが最初に着いた場所……あれが畑ですか?」

「そう。酷いものだろ?」
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