追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「前からおかしいと思っていたのだ。お前が魔法を使うのはこのカレリアス伯爵家の中のみ! しかも、創造魔法を実際見たことがあるのは、使用人の一人だけ、というではないか。こちらの所望する創造品は確かに王宮に届けられるが、まさかお前でなくナタリアが創っていたとはな」

「だ、誰がそんなことを……!」

 愕然とする私に、ナタリアが言った。

「わたくしとお兄様、あとお父様も認めているわ。王家のみなさまと宰相様をこれ以上たばかるなんて、心が咎めますもの」

 ナタリアはしたたかに涙を拭く仕草をした。

「いや、虚言癖が治らない末妹を不憫に思い、君たちが情けをかけたこと、それを罪には問わない。全てはララ・レダー・カレリアスの浅はかさゆえだ」

「なんと寛大なお言葉! さすがは次期国王陛下ですわ」

 大袈裟にアンセルの機嫌を取りながら、ナタリアは私を見た。

「可哀想な我が妹よ。情けをかけてやったのに、調子に乗って聖女になるなんてありえないわ。ほんの少し、わたくしが力を貸してあげただけなのに、それを自分の力と勘違いするなんて。もう茶番はやめましょう」

「なっ! お、お姉さま! 酷いわ……」
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