追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 うっ……おっしゃる通り。こうなったら、軽い気持ちで聞いてみるか。

「実はですね。私、宝石を扱った商いをしておりまして、この辺りに宝石がたくさん出るという話を聞き、好奇心を抑えられず足を運んでしまいました」

「宝石を扱う商い、か。ふうん。ここに鉱山があるのは間違いない。だが、今は採り尽くされて閉鎖されている」

「は? い、いやそんなはずは」

 アメちゃん! ちょっとどういうことよ! 話と違うじゃないの。と、右手薬指に嵌められた指輪に怨念を送った。居住区に来る時に、守護獣たちは宝石の姿に戻っている。スピネとムーンはともかく、アメちゃんは隠し通路を通れないからだ。

「あるのよ! 感じるもん。この山脈の下の方から数えきれないほどの宝石の波動を!」

 私の怒りを感じ取り、アメちゃんが言った。

「本当に?」

「絶対本当! 試しに掘ってみて!」

「不思議な光景だな。ドラゴンや獣が宝石になり、意思疎通も出来るとは」

 ディオはさほど驚くこともなく平然と言った。そういえば、最初に出会った時、守護獣の登場に他の人は驚いていたけど、ディオは冷静だった。まるで、知っていたかのように。
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