追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 ひょっとして二重人格ですか? それとも、この数分の間に明るい未来を予知したとでもいうの? 
 いや、そんな馬鹿なことあり得ないか。「なにもかも見透かしてそう」なディオでも、魔法までは使えない、はず。

「でも、目立つことはよくないのでしょう? さっきあんなに反対していたじゃないですか」

「潮目が変わった」

「潮目?」

「ああ。まあ、あまり詮索しないでくれ。俺は気まぐれでね。コロコロ考えを変えることがある」

 ディオはいつものように飄々と言った。
 少し、気まぐれが過ぎるのではないですか? 訝しむ私の視線を恥ずかしそうに避けるディオ。
 一応彼もばつが悪いとは思っているようだ。心配症で気まぐれで、掴みどころのない謎の美青年ディオは、今度は真剣な表情で私に向き直った。

「自己満足でもいい。君もみんなも長い間、我慢したんだ。今度は、全員で楽しい生活をしよう! 今まで辛かった分、幸せにならないとおかしいよ」

「そんなこと言っていいんですか? 私、結構めちゃくちゃに改革しますよ? 見たこともない物とか、よくわからない物までこのグリーランドに溢れますけど、後悔しませんね?」
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